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ペア・ノアゴとその作品
【プロフィール】
ペア・ノアゴ Per Nørgård
(1932- )
1932年生まれのペア・ノアゴは、デンマーク出身でカール・ニールセン以降もっとも成功した作曲家である。半世紀におよぶ作曲家、教育者および理論家としての活動をとおして、デンマークの現代音楽の発展に大きく貢献し、その作品は、大規模なオペラからのシンプルな賛美歌まで多岐にわたっている。
1952-55年、デンマーク王立音楽アカデミーでホルンボーに師事し、初期の作品では北欧的な作風をとっていたが、その後パリに移ってナディア・ブーランジェに師事。1960年代には、ケルンの国際現代音楽協会(ISCM)主催による音楽祭「世界音楽の日々」で前衛音楽に触れ、セリーやコラージュなどの技法を用いた実験的音楽を模索するようになり、その後もミニマリズムやポストモダニズム、電子音楽など様々なスタイルの作品を生み出している。
1997年にオーデンセで開催された音楽祭で、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集から、プレリュードの形式をもとにした打楽器協奏曲「Bach
to the Future(未来へのバッハ)」と、オペラ「Nuit des Hommes(人間の闇)」の音楽を用いた弦楽四重奏曲第8番「夜のとばり」を初演、2000年には交響曲第6番を初演した。
一方、王立音楽アカデミーなどでの教育活動や音楽理論の研究、あるいは新聞・雑誌などでの批評活動も活発であり、また、子どもや若い人が演奏するためのオラトリオをはじめ、アマチュア音楽家のための作品も意欲的に創作、そのほか、デンマークを代表する作家、アイザック・ディーネセンの原作による映画「バベットの晩餐会」(1987/米アカデミー賞外国語映画賞受賞)の音楽も手がけている。
【作品解説】
弦楽四重奏曲 第8番「夜のとばり」 String Quartet No.8 "Night
Descending" (1995-97)
プロローグ−賞賛 Prologue - Eulogy
人−動物 Man - Animal
旅 Voyage
夜のとばり Night Descending
エピローグ−悲歌 Epilogue - Elegy
弦楽四重奏曲第8番は、私が1996年に発表した室内オペラ「Nuit
des Hommes(人間の闇)」をもとにした5つの部分から成り立っている。弦楽四重奏(と打楽器)のアンサンブルである。このオペラの主題は第1次世界大戦であり、物語は一組の男女の心理状態とその変化を描いている。初めは戦争に熱中していたが、それは恐怖に変わり、そしてついには非人間的になる。ギョーム・アポリネールの戦争にまつわる詩が台本となっている。
弦楽四重奏曲の5つの楽章は、この変遷を表現している。第1楽章(プロローグ−賞賛)は「金の太陽」を忘我の境地で称える。第2楽章(人−動物)は緊張度の高いリズム、それが徐々に軍隊風になっていく。第3楽章(旅)は、新たしい時代への期待に満ちた感覚が膨らむが、突然第4楽章(夜のとばり)によってその期待は中断される。夜の静かな闇は喜ばれるものではなく迫りくる戦争の不安が立ちこめている。最後の第5楽章には、第1楽章のモチーフが再び登場するが、賞賛は、エピローグ−悲歌へと形が変わっていく。