福田進一氏からのメッセージ


●2人はサラダ・ドレッシング?
福田進一氏より、7月7日に向けてのメッセージが届きました。というより、浪速の一人漫才。笑わずに最後まで読めた方、えらいです。

●クラシック・ギタリストというのは音楽家の中でも非常に特殊なジャンルです。最も近い職業は、と言いますと「落語家」ではないかと思われますね。ソロが多いですから。まず、舞台の上にはイスがひとつ。その前にポツンと足台が置かれているだけです。実に、寒々としたステージ。拍手と共に格好良く登場せねばなりませんが、心は恐怖におののいてるんです、これが。頼るものは、(最近、時々言うことを聞かない)両手指、(借金で買った)愛器、そして全ての音符を記憶している(ハズの)脳ミソと柔軟な(動脈硬化ぎみの)ハート。なーんや、ピアニストと同じだと言う人もいらっしゃいますが、とんでもない。顏の向きが違うでしょ。え?わからない?つまりですね。彼らはいつも上手(客席から見て右手!)を向いて演奏出来るわけですが、こちらは真正面です。正面です、正面。あなたは正面から人の目を見て話せますかっ。何?話せる?それならヨロシイ。まあ、ピアニストがずーっと正面向いて弾いてたらさぞ気持ち悪いでしょうなあ。ははは。は。それは置いといて、ギタリストに「うつむきかげんの暗ーいのん」が多くなるのは当然なわけです。とにかくですな、何が何でも数百人の聴衆の前で、何度も言いますが、正面向いてですよ、黙々と一人で音楽するんですからね。なんべんも。自分でも「偉いナー」と思う反面、狂気の沙汰というのはこういう事かいなと思ったりもします。
●さて、30年以上も、そういう行為を続けてきた私(は、変でしょか?)にとって、デュオというのは実に楽しい演奏形態なんですよ。多分、相棒のエドゥアルドも同じなんじゃないでしょうかね。6本づつ、計12本の弦をタイミング良く合わせるというのは大変な行為です。しかし、互いの呼吸を聞き、目と目で合図して音楽を作ってゆく。そのうち、その瞬間瞬間が楽しくて楽しくて、もうあんた、ここに書くのは誠に失礼なんですが「お客の存在を忘れて」しまうんですな。失礼とは思いますが「周りにおる客なんか関係ない」ていうか、もっと失礼に書くと『あんたらなんか、おっても、居らんでも、どっちでもええ。』てな心境になるわけです。
●いやはや、その昔、天地真理も歌ってましたが、ひとりじゃないってー♪いうのは本当に素敵な事で、ソロ演奏とはまた違った味の音楽を生むような気がするんですね。この辺の説明は、我々のファーストCD、「アトム・ハーツ・クラブ」のライナーノートに書いてありますから。読みなさい!。
●ギターというのは鋭敏な反射神経とリズム感を要求される楽器で、非常に近い音感、リズム感を持っていないとアンサンブルはバラバラになってしまうのですよ。従って、歴代の有名なギター二重奏はプレスティ&ラゴヤ夫妻やアサド兄弟のような近親的パートナー・シップに基づいたものでした。しかし、エドゥアルド・フェルナンデスと私の演奏はおそらくこれ以上遠い存在はないと言えるほど、異質な弾き方ですよ。当たり前ですわ。そら、地球の正反対に位置するモンテビデオと浪速で育ち、教育を受けた二人でっせ、ウルグアイ弁のスペイン語と大阪弁の日本語で生きてきたん。それぞれの音一個とっても「細胞」ちゅうか、ミリ単位まで異っています。これでもし、遺伝子調べて兄弟やったら、あんた父親は宇宙人ですがな。はははは、は。さて、冗談は置いて、結局我々を結びつけているのは、お互いが作品を通して言いたい事〜音楽的なメッセージや理念が極めて近いという事にあるようで、こういう相手とはなかなかめぐり遇えるもんやありません。人間的な相性も良かったんでしょうネ。だから、一般的な意味での練習をする必要があまりないんです。まず、音楽的コンセプトが重要なんです。
●おっと、こう書くと『あいつら練習しないらしいぜっ。』とか喜んでカキコしたりする人いますよね。そうされない為に言っておきます。 実は、私達は凄く練習します。
●そう言えば、先日アサド兄弟と食事をする機会があったのですが、彼らと話している時に、実に面白い例えが浮かびました。彼らの音楽はフランス料理のソースみたいな味だと、乳脂肪と牛豚の脂、或いは魚のエキスを混ぜてじっくり煮詰めた味がする。でも、フェルナンデス&福田というのはそういうんじゃないんだと、これはもう新鮮な野菜や食材にかけるドレッシングなんだ。だから普段は酢とオイルで別々の器に入れとかなきゃいけないんだ。特に福田の方は醤油も入っているしね。いつも良い曲に出会うなり、パーッと振ってかき混ぜて、サッと食卓に乗せるんだよと。アサドたちには大いに受けてました。ね、面白い理屈でしょ! そう、フェルナンデス&福田は何をやるかが「味噌」なんです。
●ああ、こう書くと、またまた洒落の解らん『あいつら練習しないらしいぜっ。』とかカキコしたりする阿呆いますね。そうされない為に再度言っておきます。私達は、す・ご・く練習します。特に、東京公演は血が出るほど練習します。あ!もちろん名古屋公演も。
●てなわけで、今回のプログラム、出来るかぎり新鮮な「とれとれ&ピチピチ」の曲を取揃えました。 是非の御来店、心よりお待ち致しております。


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