津田ホール・スペシャル21
■飽くなき探求心で「進化」し続ける音楽家
有田正広フルートリサイタル2002
2002年3月1日(金)7時開演
★全指定席:一般4000円 学生3000円
(学生券は、津田ホールと東京文化会館チケットサービスでのお取扱いで、当日座席指定となります。)

有田正広(フルート)
有田千代子(ピアノ)
*使用ピアノ=S.エラール1895年パリ

●プーランク:フルートとピアノのためのソナタ
●武満徹:フルートのためのエア
●シューマン:フルートとピアノのための3つのロマンス 作品94
●C.P.E.バッハ:無伴奏フルートのためのソナタ イ短調 Wot.132
●シューベルト:フルートとピアノのための序奏と変奏"しぼめる花"
(歌曲集「美しき水車小屋の娘」より)D.802

*曲目は変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。

「楽器を敢えて道具と考え、音楽そのものの本質に迫ってみたい」
有田正広の新しいステージ
近藤文子(編集者)
 数ヶ月前だったか、有田さんが突然物騒なことを言い出して、驚いた。もう自分はホールでのコンサートはやめようと思う、というのだ。何か考えがあってのこととは思ったが、少し切迫した様子の「決意表明」に気押されてしまい、真意を聞きそびれてしまった。本当に生演奏が聴けなくなってしまうとしたら大変悲しいことだと思い、あれからどうなったかと気にしていたところ、このリサイタルの知らせがあった。ライブをやる、ただしすべての曲をモダン楽器で、という。ライブは嬉しいけれど、なぜまたモダンにこだわりを?
 有田さんが言うには、自分はこれまで作曲者の意図をいかに正確に捉え表現するかを徹底して探究してきた。99年のCD『パンの笛』、そして昨年のバッハのフルート作品全曲CDで、自分の培ってきたすべての知識・経験に加えて、入手し得る最良のオリジナル楽器にこだわって演奏した。ただ、そうして探究の成果がCDという形になるのと逆行するように、オリジナル楽器を使って、特にホールという場で演奏することの限界を感じるようになっていった。オリジナルならではの微妙なニュアンスの豊かさ、親密性が、ホールという場では、どうしても聴き手に届かないもどかしさを感じる。だから、一時は、ライブをやめようというところまで追いつめられてしまったのだ。
 それでは、なぜ、敢えてモダンを?−−傲慢に聞こえるかもしれないけれど、古楽器としてのフルートについてはすべてわかった、と現時点では思っている。今回は、古楽器の語法をすべて取り入れた上で、モダンで演奏してみたい。そこから初めて見えてくる音楽の美しさもあるかもしれない。楽器を敢えて道具と考え、音楽そのものの本質に迫ってみたい。もちろん、オリジナル楽器での演奏も、模索しながら続けていくつもりだけれど。
 −−有田さんはまた、このリサイタルを契機に、変わるかもしれない。なにしろモダンだけでリサイタルを開くのは25年ぶりだというのだから。飽くなき探求心で「進化」し続ける音楽家、有田さんの新しいステージを楽しみにしている。
有田 正広 (フルート)
桐朋学園大学を卒業後、べルギーのブリュッセル王立音楽院に留学。1975年、王立音楽院をプルミエ・プリで卒業。同年、ブルージュ国際音楽コンクールのフラウト・トラヴェルソ部門で第1位。帰国後もフランス・ブリュッへン指揮「18世紀オーケストラ」のヨーロッパ・ツアーや、クイケン兄弟との共演、トレヴァー・ピノック指揮「イングリッシュ・コンサート」の日本公演にソリストとして招かれるなど、内外の名手たちとも盛んに共演。1985 年に発表されたレコード「ドイツ・バロックのフルート音楽」でレコード・アカデミー賞の2部門と文化庁芸術作品賞を受賞。また、東京バッハ・モーツァルト・オーケストラを結成して指揮も行う。バロックから現代まで、各作曲家の時代のフルート数本を各作品の様式にあわせて吹き分ける無伴奏リサイタルなど(1999年10月にCDもリリースされ、文化庁芸術祭優秀賞を受賞)、世界的な奏者にふさわしい特筆すべき活動を数多く展開。津田ホールでは「ルネサンス・フルートから現代フルートまで」と題して、モダン楽器を含めた5種類のフルートを駆使したコンサートを1996年に行っている。現在、昭和音楽大学教授、桐朋学園大学古楽器科講師。
有田千代子(ピアノ)
桐朋学園大学でピアノを井口秋子、室内楽を斉藤秀雄の各氏に師事。卒業後、べルギーのモンス王立音楽院で、チェンバロをロベール・コーネン氏に師事し、最高栄誉賞付ハイ・ディプロマを得て卒業。帰国後は日本を代表するチェンバリストとしてソロ、通奏低音の双方で活躍中。桐朋学園大学・国立音楽大学講師。

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